設立経緯

文部科学省が推進するHPCI (High Performance Computing Infrastructure) 事業において中核となるNFS (National Floagship System)として,これまで「京」及び「富岳」の両システムは汎用のマルチコアまたはメニーコアCPUを用いた高性能プロセッサを用いた数万〜十数万ノードの超並列計算機として実装されてきました。しかし,システムの電力当たり性能を飛躍的に向上させ,またAI (Artificial Intelligence)を積極的に用いた手法により科学を発展させるAI for Scienceのような新しい手法の実現のためには汎用メニーコアCPUでは限界があり,世界中のトップレベル・スーパーコンピュータではGPUに代表される演算加速装置を用いることが主流となっています。

このような背景の下,文部科学省では次期NFSとしてポスト「富岳」システムの開発計画が立てられ,理化学研究所・計算科学研究センター(R-CCS)を開発母体としたシステム研究開発が2025年度よりスタートしました。R-CCSではシステムのコード名を「富岳NEXT」と名付け,2025-2026年度に基本設計,それに続き2027年度より詳細設計を行い,2030年度のシステム稼働を目指して開発が進められています。また,国内のNFS以外のHPCIシステム資源であるNIS (National Infrastructure Systems)を提供する国立大学スーパーコンピュータ・センター等でもGPUを積極的に用いたシステム導入が先行して行われており,いくつかの大学ではGPUスーパーコンピュータが主要資源となっています。

しかし,これまでの文部科学省「富岳」成果創出加速課題プロジェクト等では基本的に汎用CPUを基準としたプログラム開発が主に行われており,国による本格的なGPUコード開発の支援体制が不足していました。そこで,文部科学省では演算加速機構を中心とするコード開発を支援するための拠点形成を目的とした,「次世代HPC・AI開発支援拠点形成」事業の公募を2025年7月に行いました。同事業では,GPUに代表される演算加速器を中心とする超高性能システムのプログラム開発及び研究コミュニティの育成に関する活動を2025年10月から4年半に渡り実施することを求めています。この事業年限は,ポスト「富岳」システムの完成の目処とされる2030年に合致し,同システムが運用を開始するまで,またそれ以前のNISのGPUシステムにおけるコード開発と性能チューニング等の研究を支援し,欧米のシステムが先行しているGPUコンピューティングに比肩する,国内でのコード開発とこれに基づくHPC及びAI研究を強力に支援することを目的としています。

文部科学省での公募審査の結果,高度情報科学技術研究機構(RIST)を代表機関とし,筑波大学・東京大学・東京科学大学を中核機関とする提案が本事業に採択され,「次世代HPC・AI 研究開発支援センター」(HAIRDESC: Advanced HPC-AI Research and Development Support Center)が設立されました。HAIRDESCは2025年10月に神戸市ポートアイランドに設置され,中核機関である3大学と共に活動を開始しています。

上部へスクロール